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2012/04/20

【補講】合成の誤謬

経済学に,「合成の誤謬」(fallacy of composition)という用語がある。

ミクロ経済学上の理論をそのままマクロ経済学に応用してしまうと,結論が異なってしまう(誤りが生じてしまう)ことを説明する言葉である。

転じて,一般的には,個別的には正しい理論でも,全体的にみれば正しいとは限らないというもの,と意味でも使われる。

試験勉強,とくに医学部や国公立大の入試などの科目数が多く,覚えるべき項目の数が多い勉強においては,個別科目や個々の勉強において理想的な勉強量をそのまま実行することが,試験に最短で合格するためには,必ずしも最善とはならないようなことがある。

試験勉強にも,合成の誤謬が生じるということだ。
十分に注意されたい。

試験勉強に当たっては,合成の誤謬に陥らないように,科目全体の勉強量と質のバランスをチェックしながら進めていくことが大切になってくる。

私の書いていることは,一見すると「科目によっては,手を抜きなさい」と言っているかのように読めるかもしれないが,そうではない。
合成の誤謬に注意することは,考えることに手を抜くこととは違う。
特定の科目や分野や好きな勉強・作業にだけにエネルギーを注いで,その科目が伸びたとしても,試験科目全体の成績が落ち込んでしまいことがあるので注意しようということだ。

合成の誤謬を避けるためには,とにかく記録をつけることが大切だ。実施した勉強内容と達成度,それから,かかった時間も記録する。

5月1週目のGW(5/3)から大手予備校の全国模試も始まるから,月に1~2回ペースで受験して,「全国規模での」成績伸長度をモニターしていくことも大切だ。

予備校や学校の科目の先生は,教えている科目の成績にしか興味がない場合が多い。だから,模試などで客観的に自分の成績を管理していく必要がある。
を要する。

いずれにせよ,勉強を進めるにあたっては,さまざまなバランスを取ることが大切だ。「社会や理科は,後回しでも大丈夫」などと,どこかの本の受け売りを真に受けて,英・数ばかりに時間をかけ過ぎないように注意しよう。たしかに,英語や数学は,習得に時間がかかる科目ではある。しかし,理科の理論的分野や社会や国語だって,同じように早く始めておいた方が良いこともある。

試験科目の配点バランスや難易度,また受験生本人のスタート地点によっても,取るべきバランスは異なってくるはずなので,優等生や科目の先生の意見だけを参考にしてはいけない。